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●またまた「八王子見学会」
-「太い繊維を織る」とは?-
八王子の絹遺産関連見学会の報告に関して、80代の女性会員から先日、電話がありました。
その方は見学会には参加できなかったのですが、後日、知人から見学会の写真をたくさん見せてもらったそうです。
彼女は、八王子市郷土資料館の地機(じばた)の説明パネルに、違和感を感じるとのことでした。
地機とは、今日ではほとんど見かけなくなった伝統的な織機のことです。実物が同資料館に展示してありました。(写真A)
(写真A:地機の実演風景)
彼女は言います。「パネル写真(写真B)には、地機は“麻や木綿などの太い繊維を織るために使う”とあるようだけど、ひっかかるんだなあ…。書いた人、繊維のことちゃんと理解しているのかねえ…」。
(写真B:説明文の2段落目に「太い繊維を織る」とあります)
「正しく表記するなら、全ての繊維は糸から布にするわけだから、“太い糸で織る”とか、”厚手の布を織る”とした方がいいんじゃないのかしら。…今の若い人は糸というとカードに巻いてあるものしか知らないから、こんな表記になったのでは」と。
電話を受けながら、なるほどその方が確かに正確と思う一方、微妙な感じもしないではありませんでしたが、戦前・戦後と農業の傍ら、副業として織物の仕事をして家計を支えてきた人なので、こだわりがあるのでしょう。
彼女は続けます。
「…まあいいいんだけどね。厚手の木綿というと、酒屋の前掛け、材木運びの肩布、大工の腹掛けなどが思い出されるわね。消防団のハッピなどもね。いずれも昭和の思い出よね。…昭和は遠くになりにけり、か」。
以上