産業遺産へGO! 過去のきらめきに触れたい

日本の近代化に寄与した産業遺産に関する話題

西武鉄道・中村橋駅の街路灯

 

      ◎「馬場のぼる展」と、中村橋駅古レール街路灯

 

 東京・練馬区練馬区立美術館で開催中の「馬場のぼる展」に行ってきました。

 西武池袋線池袋駅から各駅停車で6駅目、中村橋駅で降りて、改札口を左に曲がり(北口)、石神井公園駅方向に線路沿いに歩いていて、お洒落な街路灯に目が行きました。一目で古レールで作ってあることが分かりました。全部で5~6基あったでしょうか。

 日本の官営八幡製鉄所やドイツ、フランス、ポーランドなどの製鉄所製で、それぞれの街路灯の下には簡単な説明書きがありました。

 

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中村橋駅高架下の古レール街路灯

 下の写真は、ドイツのグーテホフヌング・ヒュッテ製鉄所の古レールで、1926年圧延との説明がありました。

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ドイツのグーテホフヌング・ヒュッテ製鉄所製

 一連の街路灯は、鉄道や駅に関わる公共芸術(パブリックアート)とてして、平成15(2003)年に、「日本の鉄道・パブリックアート大賞」の佳作を受賞しました。

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パブリックアートの表彰状

 

 下の写真の右手は、官営八幡製鉄所時代(1901~1934年に圧延)。左側は、ポーランドのクロレフスカ・フータ製鉄所(圧延は1927年)の製品です。

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官営八幡製鉄所ポーランドの製鉄所の古レール

 外国製レールは1930(昭和5)年ごろまで輸入されていたらしいです。その後、国産がメーンになります。

 これら古レール西武鉄道との関係はわかりませんが、歴史的価値があるレールを街路灯として再活用するアイデアはなかなか素敵です。

 一般的に言って、現存する古レールの刻印は、錆や風化で判読しにくいケースがほとんどですが、ここの街路灯古レールは、刻印箇所がはっきり分かるように金色に塗られ見やすくて、シックなデザインで評価できます。

 ただ、それぞれの街路灯の下に設けてある説明板には、経年劣化で文字が読みにくいものもいくつかあり、取り替えなど何らかの対応が必要にも思われました。

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練馬区立美術館の「馬場のぼる展」

中村橋駅から歩いて3分ほどで、練馬区立美術館に着きました。

美術館の交差点側に馬場のぼる展」(9月12日まで開催)の大きな看板が出ていました。訪れたの8月初旬、学校がコロナ禍の夏休み期間でしたが、家族連れ、女性の一人客などで思った以上に混んでいました。「密」を心配したほど。

 馬場のぼる(1927~2001)がデビューした時から、その絵本作品を出版してきた「こぐま社」などが、保有している原画等をたくさん展示しています。ほんのりとした暖かみ、ユーモアが、多くの人々を引き付けるのでしょうか。「大人はだませますが、子どもはだませません」という彼の言葉が印象的でした。

 馬場のぼるの世界観は、古レールに歴史的価値を認め、街路灯として道行く人々を照らすその意味合いとも相通じる感じがします。

(追記)会場は撮影禁止でしたので、拙宅にある馬場のぼるの「11ぴきのねこと仲間たち」のカレンダーを紹介します。

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馬場のぼるカレンダー

  筆者はこのカレンダーが気に入っていて、台所と居間にかけています。

 こぐま社で販売してます。                   (0)