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●歴史ある英国製橋の保存を③
~旧江ヶ崎跨線橋「第3の人生」~
1929(昭和4)年に建設された新鶴見操車場に、2009(平成21)年まで80年間架かっていた旧江ヶ崎こ線橋は、不要になった3つの橋を移設・ドッキングして造られたものです。
一つは、先に説明した英国コクラン社製の旧荒川橋梁。もう一つは、1896(明治29)年に日本鉄道土浦線(現・JR常磐線)の旧隅田川橋梁にかかっていた橋で、英国ハンディサイド社製です。(残り1つはどこから転用したのか不明)
旧江ヶ崎跨線橋は撤去後、英国コクラン社製の一部はモニュメントとして保存展示されたわけですが、ハンディサイド社製の橋は、横浜市中区新山下地区にある新山下運河を渡る「霞橋」に再利用されています。
横浜の「霞橋」
この霞橋は、横浜の観光名所である「港の見える丘公園」の展望台に立つと、ほぼ真下に見えます。かわらけ投げでもすれば、当たるかもしれないと思われるほどの近さです。
橋の権威である伊東孝・元日本大学教授は、コクラン社とハンディサイド社という2つの英国メーカーの橋について、「1880年代から90年代にかけての時期は、英国製のトラス橋から米国製の橋への転換期にあたり、残されている橋は歴史的価値が非常に高い」とのことです。
真っ白な霞橋は、周囲の風景にすっかり溶け込んでいます。通る車も少なく、その分、負荷がかかっていないようで、申し分のない「第3の人生」といえるかと思います。
霞橋の袂には、この橋の長い歴史と特色を記した説明板が2箇所立てられ、大切にされていることを感じます。
なお、この霞橋は土木学会の田中賞を2013年に受賞しています。
十条跨線橋についても是非、霞橋のような第3の人生を歩んで欲しいものです。
(おわり)