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●歴史ある英国製橋の保存を②
~同じ橋だった江ヶ崎跨線橋~
JR東十条駅南口の「十条跨線橋」は、先に記したように、最初は荒川橋として使われ、同橋の架け替えで撤去され,1932(昭和7)年に現在の東十条に移設されたわけですが、旧荒川橋の他の1連(約30㍍)は、新鶴見操車場(川崎市幸区-横浜市鶴見区)をまたぐ旧江ヶ崎跨線橋(長さ約178メートル、1929年架設)として使われていました。
つまり、十条跨線橋と旧江ヶ崎跨線橋(東側30㍍)は元は同じ橋だったのです。
旧江ヶ崎こ線橋は2009(平成21)年に掛け替えのため、撤去されました。
下の写真は、旧橋がかかっていたころの同操車場風景です。新鶴見操車場は、既に役割を終え、跡地は荒涼としていました。
(写真:雪の日の新鶴見操車場跡。正面の鉄橋が旧江ヶ崎こ
線橋1994年2月撮影)
上の写真は、江ヶ崎こ線橋の約600メートル北側、つまり横須賀線・新川崎駅側に位置する小倉こ線橋から撮りました。撮影した日はたまたま雪で,横浜方面に火災らしき黒煙が見えたのでシャッターを押しました。
今年(2019年)3月に現地を訪ねた際、小倉こ線橋から同じ方向を撮影したのが下の写真です。
(写真:正面のマンションの向こう側に江ケ崎こ線橋があります)
新しく掛け替えられた江ケ先こ線橋の西詰めに、役割を終えた旧跨線橋の一部が、モニュメント(下の写真)して保存されています。十条こ線橋に残されているのと同じコクラン社の銘板が付いています。
私がこのモニュメントを見に来たのは今年(2019年)3月7日でした。
この日の朝、NHKテレビのニュース番組を見ていたら、米国の俳優クリント・イーストウッド(88)が登場、自ら監督・主演した新作映画『運び屋』について語っていました。日本での公開(3月8日)前のインタビューでした。
クリント・イーストウッドが監督・主演し、大ヒットした映画に『マディソン郡の橋』があります。
米国アイオワ州マディソン郡にあるその橋、ローズマン・ブリッジは、木造の屋根付き橋と紹介されていますが、屋根というよりはどちらかといえば幌のイメージです。江ヶ崎跨線橋はマディソン郡の橋よりかなり大きい鉄橋ですが、これに幌をかければ似ないでもありません。
この日は本降りの雨。モニュメントのすぐ横の交差点(江ヶ崎こ線橋西)の信号機の赤が雨に煙って、ふと、『マディソン郡の橋』後半のハイライトシーンを想起させました。
激 しく降る雨の中、主人公のカメラマン、キンケイド(クリント・イーストウッド)運転の車が町を去ろうとするところを、恋人フランチェスカ(メリル・ストリープ)が涙で見送る場面です。4日間の情事、実らぬ恋のエンディングです。
余談ですが、このシーンでは雨がポイントになのですが、映画のロケでは快晴続きで、消防車を借りて雨を降らせたのだそうです。 (続く)
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●歴史ある英国製橋の保存を①
~アートとしての産業遺産~
東京都北区を走るJR京浜東北線に「東十条駅」があります。この駅の南口(王子駅側)に「十条こ線橋」という古い橋があります。橋の長さは約30㍍。
下の写真がその全景です。
この橋は、1895(明治28)年に、英国のコクラン(コックレーンともいう)という会社で造られ、当初は、日本鉄道本線(現・JR東日本東北本線)の旧荒川橋梁として使われていましたが、その後、橋の架け替えで1932(昭和7)年に東十条のこの地に道路橋として移設されました。
英国から輸入されて124年、東十条に移って87年。この間、重要なインフラとして地域に貢献してきました。
しかし、東十条駅南口の整備計画により、この橋は撤去される方向になっています。
なんとか、現状のままでは無理としても、どこか他で再活用できないものでしょうか。第三の人生を歩ませたいと思っています。
東京産業考古学会の会員でもある筆者は、ヘリテージ・フォトグラファー(遺産写真家)を名乗っていることもあり、この橋をアートとして撮影しました。産業遺産といえば、古く、肩苦しいイメージがないでもありませんが、アートでほぐして皆さんに見てもらいたいと思っています。
黄昏のシルエット
取り急ぎ以上です。次回②へと続きます。 (K.O)
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